発達障害就労日誌

色々あるけどまぁ生きていこうじゃないかというブログです。

タコとカラスミの炊き込みめしの話

はい。

negineesan.hatenablog.com

文脈が発生しました。

どういうことかというと、僕は昨年の末からカラスミの作成にトライしてまして、築地に出向いて宮崎産ボラ子を2キロ買い付けるところから気合いを入れてやっていっていたんですが、折角作ったんだから面白い調理をしてくれそうな人に送りつけようってことになりまして、結果としてイブニングの人気漫画家のネタ元になれるという栄誉をいただくことができたわけです。

カラスミ製作過程ですが、序盤の画像はスマホ破損により完全に失われたため後半をダイジェストでご覧ください。

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6割方干しあがってきている頃です。この頃は大変カメラ性能の悪いスマホを使っていため写真がひどい(現在も良いとはいえない)ですが、このような過程を経て製作されました。色の違いですが、塩抜きの際の酒の違いで色が濃い方がアードベッグ(すごい匂いのするアイラのウィスキー)、薄い方が越の寒梅(もらいものの日本酒)です。どういう理屈かわからないのですが、ウィスキーに漬けると異常に色が乗ります。メイラード反応と糖質があれしてるなどの仮説を立てて論文を漁るなどして検証してみましたが、理屈が結局合わなかったので(酒に残存した糖がメイラード反応を促進してるなら糖質ほぼゼロのウィスキーで色乗るのおかしいだろ)謎のままです。誰か答えを出してください。

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干しあがりです。上がアードベッグ漬け、下が日本酒漬けです。いい色です。伊勢丹で売ってるのを買ったら1個3万くらいすると思います。(伊勢丹に売ってるものとこれがどの程度品質が違うかですが、食べ比べたことがないのでわかりません)

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最終的にこの程度の量が産出され、様々な人間に自慢していたら消滅しました。不思議です。一人で食ってたら半年分の晩酌のアテになったと思うんですが…。

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完成品です。ねっとりとした魚卵のうまみにアイラモルトのピートが効いており、無限にウィスキーが飲めます。カラスミ製作過程で、僕は毎日2ミリずつ削って「仕方ないなぁ…」などと言いながらウィスキーをペロンペロン飲んでいたのですが、肝臓が劇的に悪化しました。

結論としては、カラスミですが好きな酒と合わせて作ると幸福度が高くなると思います。僕はアイラモルトのピートがクッソ効いたヤツが好きなので、やはりアードベッグで漬けたのは正解だったと思います。日本酒がすきな人は日本酒で、ワインが好きな人はワインでやればいいと思います。(ビールはモノによっては大失敗するのでチャレンジ案件です。ホップがめっちゃ効いたIPAなどにスピリタス等でアルコールを補ってやるのが安パイ)

ネットを探しても僕以外にやってる人間がいないので客観評価は不可能ですが、こいつを齧りながらアイラモルトをクピっとやるのは大変幸福度が高く、次シーズンは3倍作りましょうという機運が発生しました。

 

やっていきましょう。

 カラスミを作りました、美味しかったで完結するべきなんですが、前述の小林銅蟲先生のエントリを見ると僕もふざけたことをやりたいという気持ちが発生しました。パスタをやられてしまったなら、僕はメシを炊くしかないだろうというわけでやっていきます。

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そこでおもむろにマダコ(半身)の登場となります。

これは妻の実家からいただいてきた相馬のタコで、大変甘みがあり歯切れもよく単体でくそうまいタコです。カラスミ先生の生贄に捧げましょう。

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曖昧にバラしていきましょう。「タコなんて大体どうやってもうまいんだからなんでもいいだろ」という気持ちで恐れを知らず包丁を入れました。結果として、タコは大体どうやってもうまいので問題なかったです。

タコの正しいバラし方ですが、知りません。料理ですが、調べるのがめんどくさいので常にフィーリングで行い、ADHDなので計量の類は一度もした事がありません。我が家には大匙も小さじも計量カップも存在しないです。(尚、僕はお客さんに金とってメシを出すシェフとして厨房にたっていた頃もありましたが、その時期もすべてそれで押し切りました。製菓以外はなんとかなります)(製菓は死にます)

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ここでおもむろにカラスミを摩り下ろします。2ヶ月近い月日と多大な投資をかけて製作された成果物がゴリゴリすりおろされていくのは一種の快感で、パチスロにクッソ負けてる時みたいな気持ちになります。

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つい切り出して食べてしまい、舌が猛烈なうまみに襲われどんどん頭が悪くなっていきます。カラスミですが、うまみにも致死量があるのだろうな、ということがわかってきます。基本的には海のうまみの化身なので、どうやって食ってもうまい。

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クソ高い粉天下一武道会合法の部エントリー者です。後半の方は「なんかもうおろすのだるい」という気持ちになり適当に刻みました。僕はそういう人間です。こちらの物体が何に近いかといえば、殺意の波動に目覚めたハッピーターンの粉という感じがします。舐めれば舐めるほどIQが下がる。静脈に注射したり鼻から吸ったりする方が正しいような気がする。

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ふざけたことをやっています。こちらですが、当然クソうまいです。クソうまいのは確かなんですが、タコでもカラスミでもない異常にうまいがよくわからない物体に化け、素材の味のアウシュビッツでした。ジャンク要素ゼロなのに完全に味の構築がジャンクフードで、「うまければいい」というわけではないことがわかってきます。「うまいね」「うまい」「でもわさびがいい」「俺は柚子胡椒がいいわ」などと妻と同意しました。タコの命を粗末にしてはいけない。

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穏当な食い物です。結論から言えばこれがベストで、「ああ、ちゃんと素材と料理の味がする」という感じがします。先ほどのタコにかけたやつは、脳に流し込まれる「うまい」という信号みたいなものでした。これくらいが妥当です。

 

炊きましょう

 

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そういうわけで中略が発生しました。刻んだタコとカラスミ1.5本分の粉末を米2合とともに炊きましょう。分量ですが、いっぱいいれました。米とタコが1対1くらいだったと思います。わかりません、なにもわかりません。料理ってそういうものだと思います。ピートの香りがすごい。アイラ島のウィスキー職人もボラの卵巣を漬けられた挙句タコと一緒に炊かれるとは思わなかったでしょうね。

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成果物が産出されました。盛り付けて大葉をクッソ乗っけました。僕は大葉が大変好きで、とにかくいっぱい乗せたい派です。家の周りに無限に大葉が生えていたらいいな、と思って昨年の春は種を庭や家の周囲にバラまいてみましたが、全部枯れました。新宿対紫蘇の戦いは新宿に軍配が上がったようです。パクチーも全滅しました。その後、インターネットで調べたら、紫蘇の種をバラ撒くのは通常テロと看做される非人道的行為だったようで、爆植しなくて本当によかった。

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完成品です。タコが思ったより縮んでしまいましたね。倍入れてもよかった。次回への反省としましょう。タコが2に米が1でよかったですね。で、味ですがクッソうまい…というよりはしみじみと「うめぇなぁ…」という感じです。

アイラモルトのピート香とカラスミとタコから発生する潮の香りはすさまじく、香りの時点では「これはすげえ破壊力に仕上がったぞ」と思ったんですが、口に入れてみると存外におとなしい。まずタコの食感とうまみがきて、その後に米の甘み、そして最後にカラスミが潮をあげてきます。うまみのビッグウェーブが襲い掛かってくる感じをイメージして作ったのですが、実際のところはスゥーっと潮をあげていく海のように口内をうまみが満たしていく感じです。イメージとしては、カラスミの添え物がタコだったんですが、仕上がってみるとカラスミがタコのフォローに回ってますね。

一口目の感想は「?」です。和食屋とかでたまに高いメシ食わせてもらったりすると、最後になんかよくわかんない味メシ出るじゃないですか。で、酒も入ってるしまぁメシは食うよ、という感じで一膳平らげる頃に「あれ?これクソうまくね?」って気づくタイプのアレあるじゃないですか。(丼で欲しいと要求したらすごいイヤな顔されたことあります)感想は完全にあれで、非常に上品です。とりあえず妻と二人で2合食いましたが、一人2合でよかったですね。(カラスミも倍必要になる点については色々考える必要がありますが)

とにかく食えば食うほど旨くなってくるタイプの食い物です。あと、冷えた方がうまいですね。しかし、製作段階で構想していた下品かつ破壊的な味わいはまったく獲得できず、今後の課題となりました。カラスミですが、熱を入れると非常におとなしくなってしまうみたいですね。いや、気合いの入った和食屋が敢えてやるにはいいと思うけど、僕が求めていたのは必ずしもそういうものではなかった。加水、あるいは油を加えながらペースト状に練るなどの素材のパンチを殺さない調理法を模索していく必要があります。人生味メシランキングですが、2位にランクインですね。1位の某山荘で食った野生キノコが死ぬほど入ったメシには勝てませんでした。

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残存したタコの様々な部位です。足とも頭とも言いにくい謎の部位がうまかったです。あれですね、最初は妻と一緒にカラスミの粉に刻んだ大葉混ぜたやつをつけて食ったりしてたんですが、タコはタコとして食うほうが絶対に良いですね。マグロにもカラスミつけて食ってみましたが、「言うまでもなくうまいが、食感以外はタコの時とほぼ同じ結果が脳に出力される」という結論になり、だったらもう脳に電極つければいいんじゃないかという感じでした。

 

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エンディングですが、エビとカラスミのパスタです。小林銅蟲先生の三分の一程度の分量しかカラスミを入れていないため、大変穏当な味でまぁうまかったです。しかし、なんというかエビとカラスミはもちろん合うし、太麺のパスタもそれをガッチリ受け止めてはくれるんですけれど、今日のメシもこのパスタも、鱈の白子という単体でメイン張れるうまみモンスターを添え物に持ってくるという先生の暴挙には及んでいない感じがしますね。暴力性が足りない。高めていかなければいけない。

そういうわけで、今日は料理エントリでしたがまた明日から通常更新に戻っていきます。そして、次のシーズンですが最低5キロはカラスミを作ります、龍吟レシピも試す。そういうわけで、引き続きやっていきましょう。