発達障害就労日誌

色々あるけどまぁ生きていこうじゃないかというブログです。

ADHD事務ミスドミノ倒しを止める話

やっちまいました

こないだ「いやー、仕事調子いいわぁ。マジ調子いい、もう俺イケてるビジネスマンじゃね?」みたいなエントリあげたと思うんですけど、その直後に職場でやらかし祭りが発生しまして、反省するしかない状態に突入しておりました。ADHDが調子に乗り出すと即座に穴に落ちるということがよくわかりますね。久しぶりに「ああ、そういえば俺こういう奴だった」と思い出させてくれた良い体験だったのでエントリにまとめようと思います。嘘です。わりとヘコんでます。

ただ、非常にびっくりしたのは普段からそこそこ得点を稼いでいると、大ポカ祭りが発生した時に周囲が心配してくれるということです。「大丈夫か」「体調悪いのか」「早退しても大丈夫だぞ」などのお言葉をいただき、ああなるほど人間というのはやさしくしていただける状態を作っていればやさしいのだな、という感想を抱きました。いや、実際弊社の皆さんはやさしいんですけど、それはそれとして。

 

そういうわけで、事務ミスドミノ倒しの発生機序を追ってみましょう

最近僕は、営業だけではなく事務も担当させていただいています。というのも、弊社は中小企業にありがちな「誰かが職人的技能でこなしている技術が他の誰にも伝達されていない」という状態で業務が回っており、事務職人の退職の後は「効率的な事務」がロストテクノロジーになってしまいました。僕が担当させていただいているのは、書類作成などを「誰でもすぐ習得できて効率が良い」形にする業務です。

僕は、意外とこの手の業務が嫌いではありません。元来「非効率的な作業大嫌い」という性質がありますし、小学生のころは漢字のドリルを一文字ずつではなく、一画ずつ流れ作業で書いていくあの方式で片付けていました。エクセルの使い方をググりつつ、複数の書類を最小の手数で仕上げるアレを作ったりしています。

事務職人が退職して以来、弊社は事務を営業傭兵達が分かち合うことで何とかギリギリ回っていたのですが、営業傭兵たちは概してエクセルが使えません。臨時で雇われる事務傭兵はエクセルが使える人もいますが、書類の作り方や関連法規がわからない。そういうわけで、そこそこ書類周りがわかり、かつエクセルの使い方をググることが出来る僕がこのお仕事を担当しているわけです。(エクセルには特に詳しくありません)

そういうわけで、ガリガリと業務を効率化しつつウォォーと書類を捌いていたため、最近の僕は絶好調でした。仕事というのはひとつ調子がいいと他も調子がよくなります。そういうのいいよね…。いや、本当に良かったんですよ最近は…。しかし、これが結果的には地雷の埋設作業になっていました。

 

コンサータを飲み忘れた上に常備薬を忘れた

やらかしの直接の原因はこれです。最近僕は調子に乗っていたため、「コンサータが無くても大丈夫」という意識がどこからか生まれ、ちょくちょくコンサータを服用し忘れていました。これが、前段の「事務効率化エクセルシート」の中に地雷を発生させた要員だと思います。事務効率化エクセルシートはとても便利ですが、「一箇所間違っていたら、そのシートを利用して作られる書類は全て間違っている」という恐ろしいデメリットがあります。コンサータなしであの作業をするのはダメとしか言いようがなかった…。

そういうわけで、書類を5セットほど作成した後に「全部間違っている」が発生しました。アアアアー、と叫んでも時既に遅し。やり直しです。更に恐ろしい事態として、僕が業務用PCの中に放置しておいたエクセルテンプレを「おっ、出来てるやんけ!使ったろ!」した上司の書類も全部間違っているという事態が並列で発生していました。(これは僕のせいじゃないと思う)

そういうわけで、書類10セットの直しが発生したわけです。この時点で、僕には若干のパニックが発生していました。しかし、本質的にはまだ焦るようなタイミングではなかった、時限は全然大丈夫だったんです。ここで、ワイパックス(安定剤)を1ミリ服用していれば、何事もなかったと思います。

しかし、僕は仕事をナメていたため常備薬の補充を忘れていました。そこに、「1時間以内!」という仕事が追加で飛んで来ました。これは、結構切迫した仕事でした。しかし、僕の頭の中は「エクセルテンプレが間違っていて大量の書類の直しが発生している」で一杯だったんですね。ドミノが倒れ始めていました。しかし、まだこの時点で僕は自分のパニックを把握していませんでした。「まぁ大丈夫」という妙な楽観があった気がします。

 

頭が切り替えられない

そこに更なる問題が発生しました。アルバイトさん職場ブッチです。おいおい、参ったな今日の雑用は全部アルバイトさんに任せる予定だったのに、あれも全部やらなきゃいかんやんけ…。などの雑念が頭の中でゴチャゴチャし始めました。更にそこに私用の連絡が鳴りました。僕は、複数の仕事を掛け持ちしているため、業務中の私用電話が許可されています。しかし、このタイミングで他の仕事の電話なんか取るべきではなかった。「一度気になったら無視出来ない」という衝動性が遺憾なく発揮されています。

この辺りから急激にパニックが深刻化しました。この時点で入っている仕事を優先度で整理してみましょう。

1.1時間以内の書類作成業務(1時間以内必達、所要時間30分程度)

2.アルバイトさんが今日こなす予定だったルーチン業務(本日必達)

3.書類10セットとエクセルテンプレの直し(時限が近いもので翌日)

4.私用業務(業後にやれば良い)

どこからどう見ても全く焦るような状況ではありませんね。なんのことはない、この順番でこなせばいいだけです。とにかく1.をやって2.をやる。3.はとりあえず放置で良かった。4.に至ってはは勤め仕事が終わってから考えることです。

しかし、僕が最初に手をつけた作業は、3.だったんです。今思うと全く意味不明です。それじゃねえだろと。更に、これが思ったよりも苦戦しました。妙に深い場所にミスがあったんですね。直らない、段々イライラしてくる、しかし一度意識がここに引きずり込まれた以上手を離すことも出来ない。ワイパックスさえあれば引っ剥がせたでしょうが、この状態に入ると僕はもうダメなんです。

 

おい、あれ出来たか?

僕が「やべえ」と判断して1.の作業に戻ったのは残り時間20分ほどになった頃でした。全力でやれば20分あれば達成可能な作業ではあったと思います、しかしこのパニック状態で通常30分かかる作業を20分に巻けるかといえば、そんなことが出来るわけがありません。

「すんません!トチりました!あと10分ください!」と叫んだところで、再び私用電話が鳴りました。今度は無視しましたが、これが更にパニックに拍車をかけ、10分の遅滞の末ギリギリアウトで提出した書類は当然のごとく間違いだらけでした。この辺で、脂汗をダラダラさせながら目を血走らせている僕が「おかしい」ということに社内の皆さんが気づき始めます。

そして、書類のリテイクを更に1回トチりました。この辺でタイムアップです、上司が直しを入れて何とか間に合いはしましたが、僕の上司は通常リードタイムを取るタイプではありません。この日はたまたまお客様が遅れたせいでリードタイムが発生したので助かっただけです、本来ならアウトだったでしょう。

そして、その後のメタクソは言うまでもないですね。ルーチン業務をミスりまくり、パニックを沈静化しないままエクセルテンプレの直しに再び着手したため、百枚以上の印刷用紙を無駄にしました。もう、最後の数時間は「いない方がマシ」レベルの作業精度にまで落下していました。

上司から「体調悪いだろ、どうしたんだ」と声をかけていただいた時に素直に「すいません、調子悪いです、ちょっと時間貰っていいですか」などの手を取ればよかったのでしょうが、口からは脊髄反射で「大丈夫です!」が出力されます。一回仕事から離れて煙草の一本も吸えば少しはマシになっていた筈なんですが…。

もうここから先は思い出したくないですね…。自分が何をしているのかもわからない状態に突入していました。

 

かつてはこれを毎日やらかしていた

今思うと、これは僕が最初の職場で死んでいったパターンです。当時の仕事は現在の倍以上の負荷がありましたので、このような事態は恒常的に発生していました。だから、僕はそこから学んである程度の対策を打っていたのですが、気の緩みが全てをブチ壊しにしてしまったわけです。

対策は本当にシンプルなんです。まずは、ちゃんとコンサータを飲む。これだけで事務ミスの発生は半分以下になります。そして、「ヤバイ」と感じた時にすかさずワイパックスを飲み、まずは落ち着いてタスクの優先順位を整理する。それさえやっていれば、このドミノ倒しはは1~2個倒れたところで止まっていたでしょう。

僕は「そういうことは起きる」と知っていましたし、対策法も十分に心得ていました。しかし、鞄の中に薬が入っていなければ全ては台無しです。僕がツイッターでひとつの話題から全く離れられなくなっているのを見ていただければわかるとおり、僕の強烈な衝動性は意思の力で何とかできるものではありません。コンサータで恒常的に抑えつけ、安定剤でさらに散らせてやらなければ誰にもどうにも出来ません。

しかし、僕は現在非常に自由な形で仕事をさせていただいています。どれくらい自由かというと、事務仕事の最中にいつでも煙草を吸いに抜け出せるくらいは自由です。それで沈静化はしなかったにしても、とるべき対応策は「まずは10分仕事から離れて頭を整理する」だった筈です。あるいは、「タスクの優先順位を紙に書き出す」だったでしょう。わかりきっていることが何ひとつ出来ませんでした。これだけ整った環境下でも、自分はやらかすのです。

 

備えを欠かしてはいけない

「自分は環境や道具を整えてやっと人並み、あるいは人並み以下である」ということについて、改めて認識をしなおしました。仕事に雑な取り組み方をしていては、間違いなく総崩れが来るのです。わかってはいたのですが、ついつい緩んでいってしまいました。勤め以外の仕事も忙しく考えることがたくさんあった…なんてのは言い訳になりません。というか、忙しさのピークを過ぎてからやらかしましたし、あまり関係ないような気もします。

一ヶ月ほど前は抱え込んだ仕事に追い立てられ、それこそ二日三日一睡も出来ないことはザラ、みたいな状態でしたが、その時勤め仕事はむしろ好調でした。山場を抜けて緊張感が失われたことによって発生したと考えるのが自然です。本当に肝に銘じなければいけませんね、これは…。

現在の、いくつもの仕事を掛け持ってそれぞれをこなしていくスタイルは、ひとつのことに集中するのが苦手な僕にはとても向いていると感じています。人生の中では最も自分に向いた働き方が出来ている実感はあります。それでも尚、こうなってしまうのだからどうしようもない。

そういうわけで、ひとつハックを追加しました。手帳の1番手前のページに

パニック時の対処

1.服薬

2.業務から一度頭を離す

3.タスクの優先順位の整理

4.時間があれば煙草を一服

と書き込みました。何もかもがわからなくなったときはとにかくこのページを参照すれば立て直せるのではないかと思います。そして、鞄には大量の常備薬を補給しました。手帳にも「薬の補給」をスケジュールに一週間おきに書き込みました。

これでなんとかやっていこうと思います。自分は環境と備えを完璧に整えていなければ、あるいは整えていても尚「やらかす」人間であることを忘れないようにしたいです。パニックはいずれまたやってくるでしょう。次は上手に切り抜けてやりたいですね。

ここを読んでいたら大惨事ではあるのですが、それでもパニック野郎を一切叱責せず、むしろ心配してくれた職場の皆様に心から感謝しています。本当にありがとうございます。やっていきます。