発達障害就労日誌

色々あるけどまぁ生きていこうじゃないかというブログです。

今すぐ片付く、お片付けの本質について

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いつものニューアキンドセンター様のエントリです。シリーズ起業地獄、かなり佳境に入ってきました。こちらも併せて読んでいただけるととても嬉しいです。

お部屋、片付いてますか

皆さんのお部屋はどうですか。始まってますか、終わっていますか。どうですか。どうなんですか。というところからなんですが、まぁ発達障害のある方で「お部屋の片付けに自信アリ」という方はあまり多くないです。「完璧に片付いてないと気が狂うし、灰皿に吸殻が3本あると気になってしょうがない」という人もいましたが、それはそれでベクトルが逆なだけで色々大変だなぁと思いました。

そういうわけで、大体の人はこうなります。まず、ある日思い立ってお部屋をガーっと片付けます。「ああ、綺麗な部屋はいいなぁ、これを維持したいなぁ」と思うでしょう。でも、1ヶ月それを維持出来たことは無いのではないかと思います。僕もありません。「瞬間的にお部屋を綺麗にする」までは、星の巡りが良かったり気持ちが高まっていたりすると出来る人が多いでしょうが、「片付いた状態を維持する」というのは極めてハードなゲームです。

 

はい、そういうわけで片付けの本質をはじめましょう レベル1

片づけというものについて、僕はかなり悩んで来ました。というのも、僕はものすごく神経質なのです。視界に入る情報が多すぎると気が狂いそうになりますし、作業をするにも常人の倍くらいのスペースが最低限必要です。重なり合った書類は異次元に消滅しますし、ペンはいつの間にか宇宙に飛び出し、スマートフォンは時空の狭間に吸い込まれます。そういう問題を解決するためには「作業スペースを広く取るための作業」すなわち「片付け」が必須になるわけです。それが出来ないことには何も出来ません。

つまり、「片付け」というものの本質は生活や作業に必要なスペースを確保するということになります。これさえ理解しておけば「ただちにやらねばならない作業があるのに机が片付いていない」は突破できます。工程は極めてシンプル。まずは、机の上からコップのような割れるもの、あるいはジュースの缶のような水気のあるもの、または灰皿のような飛び散ったら厄介なものをを排除しましょう。次に、肘から先の腕を机におき、大きく右もしくは左にスライドさせましょう。

ほら、机の上は「片付いた」はずです。

これが我々のような「片付けの出来ない人間」のための「レベル1」です。まずは作業スペースを確保する、それで良いのだということを理解しましょう。ただちに机の上で行わなければいけない作業があるときは、ただちに机の上で作業を行わねばなりません。そのときのためにこのハックは本当に覚えておいて損はありません。

 

片付けの本質、恒常性の維持 レベル2

さて、レベル1はリスクを覚悟すれば誰でも出来ます。机の周りがグッチャグチャで足の踏み場もなくても、椅子に座れて机の上にスペースがあればなんとかなる。それはわかりましたね。でも、永遠にこのレベルに留まっているのはちょっと…机の周りも大変なことになってるし、台所とかには適用できないハックだし…。そういう向上心のある皆さんのためのハックです。

尚、「レベル1で止まる」というのもひとつの手です。2週間に1度業者を呼んで完璧に清掃してもらう、という手段を選んだ人もいます。彼は1回8000円で人を1人雇って3~4時間作業してもらっていましたが、月16000円でこれが維持できるなら安いものだと思います。台所が綺麗に維持できないなら「台所は使わない」という選択肢だってありです。「正しい生活」の模範像に囚われすぎず、自分に可能な限界を見極めていくというのもとても大事なことです。

しかし、「やっていくぞ!」という気持ちがわいてきた皆さんはレベル2に向かいましょう。レベル2のキーポイントは恒常性、すなわちホメオスタシスです。たぶんそうだったと思うんですが、まぁ別に言葉はなんでもいいですね。(ホメオスタシスで合ってましたっけ?不安になってきた)

すなわち、「片付け」の理想像は「片付けがいらない状態」だということです。毎回作業を始めて、作業が終わった時には全てが片付いている、そういうことですね。つまり、ギュウギュウに物を収納に突っ込んで視界から隠し、一時的にピカピカになった状態は「片付いている」わけではないのです。そこには恒常性の維持という観念が欠落しています。

 

お部屋の恒常性を維持するために必要なもの

さて、人間の身体というのはわりとよく出来ていて、いろいろあってもまぁ大体は健常な状態を維持しようと頑張ります。老化した皮膚ははがれて新しい物に入れ替わりますし、温度が高すぎれば汗が出ます。しかし、お部屋に通常この機能はありません。これを人間の手で行ってやるのが「片付け」なのです。そして、この「片付け」がやりやすい状態を作ってやることが本当は重要なのです。

さて、ここで一番重要なことは何かと言うと「物が少ない」ことです。物が増えれば増えるほど、取り出しや収納にかかる手間は増えます。生活上必要でないものは全部捨てるというのはかなり賛同できる考え方です。その一方「あればとても便利」なアイテムも多いので、この辺は兼ね合いになるわけですが。

次に重要なことは「部屋にあるもの全てに一覧性がある」ことです。というのも、見えないものって頭から消えるじゃないですか。で、また買うじゃないですか。これが繰り返してどんどん物が増えていくわけですよ。逆に言えば「積み重ねたもの」や「視界に入らないもの」を認識し続けて、適切にそれを使える人ならこのハックはいらないわけです。しかし、我々はそれが出来ないわけですね。

そういうわけで、お部屋のスペースというのは有限です。その中で「一覧性を確保しながら配置できる」物の数はとても限られています。それを意識しながらお部屋を作り直すことが極めて重要になります。「可能な限り物を少なく」と「全ての物に可能な限りの一覧性を」を意識して、お部屋の配置を考えてみましょう。片付けにとって一番大事なのはそれです。

 

Everything in its Right Place

「片付け」の本質はこの言葉に集約されると神は言われました。すいません、今ふと思いついただけなんですが、でもこれは結構正しいと思います。「そんなこたーわかってんだよ」という声が聞こえてきますので、もちろんまだ話は続きます。皆さんのお部屋を見渡してみてください。「定位置が確定していないもの」が何個ありますか?それらが「部屋の恒常性が維持されない」原因です。

ちなみに、僕の部屋にも「定位置が決まっていないもの」は存在します。いっぱいあります。おまえも出来てねえんじゃねえか、というお話ですが、全てのものをあるべき場所に還すというのは簡単なことではありません。ではそういった物々はどう処理すればいいのか?

簡単です。「居場所がないもののための場所」を用意すればいいのです。具体的に言うと、100均でデカい箱を一個買ってきて置けばいい。「これどこに置こうかな」と悩んだら、とりあえずその中に投げ込むのです。これは某極めて発達障害の強い方が「本質ボックス」と呼ぶハックですが、すさまじい効果を発揮します。とりあえず、「箱の中にはある」のですから。

ただし、箱を増やすのはやめましょう。1~2箱が限度です。ちなみに、このハックは「洗濯物が無限に部屋の中につみあがる」という方にもオススメです。洗濯が終わって干しあがったら、とりあえずボックスに投げ込めばいい。後はボックスをゴソゴソやれば靴下もパンツも出てきます。出勤前に「靴下がねえ!」と焦るあれは回避できるでしょう。

 

お部屋の物品配置を具体的にどうするか レベル3

さて、それでは最終的なところに行きましょう。「機能的かつ高い恒常性を持った部屋の作り方」とはどのようなものかについです。これは、僕の経験からくる考え方ですが、まず部屋の中での「ベース」を定めましょう。自分が長い時間をすごす場所です。僕の場合はデスクのパソコン画面の前です。1日の8割はここにいます。

この場所からの室内の一覧性と物品へのアクセス性を眼目にしましょう。そのためには、物品を3段階のレベルに分けるのがオススメです。

レベル1 日常的に使用するもの(ペン、ティッシュペーパー、メモ帳など)

レベル2 数日に1度は使用するもの

レベル3 滅多に使わないもの

の3つです。これは、あなたの「ベース」から許容される物品までの距離です。レベル3に関しては最悪一覧性やアクセス性を多少捨てても構いません。しかし、レベル2までのアイテムは絶対に「ベース」から位置を視認することが可能で、かつ1手でアクセスできるようにしましょう。レベル1に関しては、「立ち上がる必要がない」場所に置くのがオススメです。「ペンとメモ帳までの2歩が歩けなかったので致命的な情報をメモできなかった」そういう我々のためのハックです。

すると、部屋の「ベース」を中心に円が二つできるはずです。この円を補助線に部屋の中に物品を配置していきましょう。そのために必要なツール類ですが、僕の机上整理に関する圧倒的オススメはデスクオーガナイザーです。

Amazon CAPTCHA

何故か引用サムネが貼れないのでこの形で失礼しますが、こいつは「わかってるな」と思いました。書類も収納できますし、何よりメッシュなので底に落ちたものが異次元に消滅することがない。一覧性がより強化されたアイテムだと思います。このタイプならシャチハタが消滅しなくなりますね。(僕はプラスチックの透過性のないものを使っており、この現象は割とおきています)

会社をやっていた頃には机の上にデスクトレーを2つおき、書類を「未決」と「既決」に分けて処理していく方法をとっていましたが、これは従業員がガンガン書類を投げ込んでいき、僕が処理するという状態だからこそ使えた方法で、現在はデスクトレーは封印しました。重なった書類の下のほうは存在が脳から消滅していくからです。その点、書類が立てられるタイプは重ねるタイプよりはまだマシです。

この考え方を部屋全体に適用してみてください。しかし、完璧にやる必要はありません。例えば机周りだけはレベル3まで、後はレベル2までみたいな形で構いません。あなたにとって最も重要な場所とそうでもない場所を腑分けして、それぞれに適切なレベル感を設定してやりましょう。

 

出来ることをやっていくのが大事、強迫観念にならないようにしましょう

さて、これを読んで「よしやるぞ」と思った皆さんに最も重要なアドバイスですが、いきなりはたぶん出来ないです。僕は18歳の時に「持ち物をアルバムや卒業証書といった物に至るまで使わないものは捨てる」といういわば断舎利みたいなあれを行うことで、やっと少しずつできるようになりましたが、発達障害のある人がいきなりレベル3まで実行するのはたぶん無理です。

むしろ、片付けは出来ないままでなんとか生活を維持するために労力とコストを割くべきところはどこだ?と考えていくことが大事だと思います。また、「思い出のアイテムは捨てられない」という人もいるでしょう。僕は実利を優先して全て処分しましたが(そもそも良い思い出が少ないの捨てるのはむしろ気分が良いことだった)それが出来ない人は仕方ないと思います。

まずは、意識を変えることが重要です。部屋の片付けとはまず「作業スペースを確保すること」その次のレベルが「片付いた状態を維持できるようにすること」です。とにかく全部視界の外に追いやって「片付いた」とするのはやめましょう。あれは明確に事態を悪くします。我々が物置の奥深くに収納されたものを再度取り出せる可能性は、金鉱を見つけるのに近い難易度を誇ります。「一覧性」という概念を忘れないでください。

しかし、一番短期的にスパっとやれるハックはシンプルです。「本質ボックス」、明日の朝イチで買いに行きましょう。行き場のないものはとりあえず投げ込む、何かが見つからなくなったらこの箱の中を探せばいい。それは人生をとても楽にします。

「とにかく綺麗にしよう」という観念は捨てましょう。見た目が綺麗でも、恒常性がなく物品へのアクセスが悪化しているなら「汚い方がマシ」もありえるのです。お部屋に少しずつ恒常性を作り出していくことを意識して、やっていきましょう。でも無理はしなくていい、あなたのできることと出来ないことを意識して「出来ない」ことは許して、「出来なくてもなんとかなる」策を模索していきましょう。