発達障害就労日誌

色々あるけどまぁ生きていこうじゃないかというブログです。

クジラフェス2018、そしてクジラについて、あるいは美味とはなにか。

くじらは旨かった、という話を前にしました

以前、「好きなこと書いていいからクジラの話をブログでしてよ、ギャラも払うよ」というちょっと「それマジで言ってんですか」みたいな依頼がありまして、ノコノコとくじらを食べに行った結果「僕がモノを知りませんでした、申し訳ありません。これは本当に旨い食材です」となった出来事があったのは、以前書きました。

 

syakkin-dama.hatenablog.com

こちらですね。このイベントはマジでやばく、僕はひねくれものなので「まぁ、尾の身はそりゃうめえけどさ、まぁたいしたモンじゃなかったよ、食いたいヤツ食えば?」みたいなこと書こうと思ってたら、「すいませんでした」ということになったわけです。

クジラフェス2017in港区は、「ガチモノのクジラはマジでうめえよ」という「素材」としてのクジラをアピールするイベントだったと思います。確かに「肉」としてのクジラのポテンシャルの高さは素晴らしいもので、もちろんさまざまな問題はあるとしても、それでも「うまい」という結論は僕の中で揺るがなくなりました。

その一方で、「最高鮮度のクジラ」がうまいというのは、一つの極めて「現代的な」結論です。「クジラ」が最も消費されていたのは今より大分昔の話で、当時の食卓に上っていたクジラがここまで最高品質のものであったはずはない。愛された文化の根底になっていた「クジラ肉」はこのイベントで僕が食べたものではなかったはずです。

そんなわけで、「福岡でもやるけど、行く?」という声がかかりました。二つ返事で「行きます」と答えました。「今回は野外イベントだから、ぶっちゃけ質は多少落ちるかも」という話は事前にありましたが、僕は「それでこそ」と思いました。今度こそケチつけてやろう、という気持ちもちょっとありました。「最高鮮度でナンボの食いモンですね」という結論もありえると思いました。

で、最初に言うんですけど。すごかったです。「鯨食」という文化の底の深さを叩き込まれる最高の体験になりました。この場を借りて感謝させていただきます。

 

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はい、こちらがイベントのポスターです。下の方にいるマスコットキャラのバレニンちゃんは今回もいました。さぁ、語っていきましょう。

 

やってきました、鯨フェス九州&山口

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そんなわけで、新幹線で5時間くらい。やってきました博多駅。今回は駅前広場がそのまま会場なのでアクセスは最高。到着するなり「思った以上の人気で今は食えるものがほとんどないです」という状態になり、おいおいエライ人気だなという感じです。

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営業再開18時て・・・。壊滅しとるやんけ、というところから始まったわけですが、なんというか、今回のクジラフェス2018in博多、お値段設定が狂ってるんですよ。小鉢に入ったクジラ料理、オール100円。そりゃ食うわって話ですよ。

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んで、今回供されるクジラ料理はこんな感じ。まぁ、味レポは後ほどやるとして、とりあえずこの時間でも開いてるお店で鯨カツを食うことにしました。まぁ、ド定番料理。「揚げれば大体のものはうまい、ブラックバスも揚げればうまい」これが料理の鉄則です。そういうわけで、僕も鯨カツにはほとんど期待をしていませんでした。

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結論から言う。超うまい。クジラのクセがガツンとあり、齧ると強烈なうまみが口いっぱいに広がります。ものすごく味が濃いからとんでもない満足感があるんですが、食べてみて思ったより肉が薄いことに気づきます。これで大正解です。これ以上肉が分厚かったらクドくなります。「旨い食い物」ってのは、大体万人がウマイというものではありません。「クセ」や「臭み」と「旨さ」ってのはギリギリのところでせめぎあっています。この鯨カツは、まさにそのギリギリをついています。

これ以上クセが勝ったら厳しい、でもこれ以上味が平板になったらつまらない。まさに「クジラを食った」という満足感があります。この後、主催者の方に聞いたところ「鮮度は良いやつ買ってくよー」って話なので、おそらくタレに漬ける段階で一定の「熟成」のような工程を経ているのでしょう。

クジラは非常にうまみが多い食材であることは既知ですが、これはかなり驚きです。肉の鮮烈な香り、そしてそれを受け止める甘辛のしっかりしたタレ。非常にレベルの高い「料理」です。しかも、そのうまさはどちらかといえばジャンクフードのうまさ。人間の食欲を強烈に煽る、あの味です。気取らない、地に根付いたうまさです。

「最高鮮度のクジラは何のクセもない」という体験の後に、これは僕にとって非常に鮮烈でした。料理人にとって「クセのない食材」は「つまらない食材」でもあります。むしろ、非常にクセのある食材のクセを「個性」として乗りこなしてこそ料理。非常に水準の高い技術があることがわかってきます。…正直どうやってるかわからんけど。どうやんのあれ?

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最初はあんまり売れてなかったのかなーって感じでしたが、1枚目の通りじきに人間が無限に群がってました。そうなると思います。あれはマジでうまい。「炸裂する」うまさです。長崎行ったらこれは食った方がいいです。鯨専門店くらさき、覚えた。

 

さて、食っていきましょう

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さて、今回の鯨フェス2018in博多、テーマは「肉」ではありません。「シロデモノ」いわゆる、クジラの肉以外の部位です。皮下脂肪、筋など「赤肉」以外の部位もクジラからは大量にとれるので、それを食う文化があるわけですね。鯨汁、だご汁、粕汁、トマト煮など、さまざまな工夫を凝らされた鯨料理が並びます。

さて、クジラのシロデモノ。「さえずり」なんかは美食趣味の方はご存知でしょう。これはまぁ、クジラの舌です。さえずりのスープ、上品なカツオだしにさえずりから僅かに立つクジラの風味がたまらねえ。粕汁も実に上手にクジラを使ってます。歯ざわり、舌触りは、クニュクニュという感じ。スープのとても上品な浮き実です。

クジラの皮下脂肪や筋といった部位をさまざまな味付けで食べました。会場には、プーンとクジラの匂いが満ちています。この「匂い」が、食べ進めるうちに「食欲をそそる良い匂い」になっていくのが面白かった。味覚と嗅覚が、徐々にクジラに慣れていくんですね。トマト煮は少しケンカしてるかな?という感じだったけれど、好みの範囲だと思います。どれも、「これがうめえんだよ」というそれぞれの調理者の気迫を感じる良い料理です。

ここまで食べてみて思ったのですが、これ文脈として「ラーメン」に似てます。シロデモノは「それだけ」を食べてうまいものではありません。ダシ、具材、調味料、そういうものと組み合わせてこそ真価がでます。ここで面白かったのが、「クジラにはちょっとクセがあるから、味の強いものとぶつける」が必ずしも最適解ではないということです。

例えばカレー。十分に「美味」の水準ですが、クジラのくせはほとんど「野菜とクジラのスープ」である「野菜たっぷり鯨汁」よりもむしろ強く感じます。やわらかな野菜の甘みでくるんでやった汁は、ほとんどクジラのクセなど感じさせず、シロデモノのやさしい食感とあいまってまさしく「滋味」という感じです。身体の中に滋養がしみこんでくる、やさしい味わいでした。

他にね、まぁさえずりはうまいのは知ってる。ウヒョー300円、そりゃ食うよ。うむ、上品なカツオダシの上にクジラの風味がのり、舌触りがたまんねえ。後、「塩クジラ」こいつがまたガツンと強い。塩漬けの干物なんですが、クジラのうまみ爆弾。ただし、塩気もクセもガッツリです。このあたりから「借金玉という生物がきているらしい」と聞きつけた人類が集まり始め、

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「人生はままならない」という同意の握手が参加者同士で行われるというなかなかの人間が行われておりました。地酒なども入り始め、徐々に曖昧の様相を呈していきます。うむ、クジラうめえな。一癖あってうめえな。

 

クジラヒアリング大会ークジラは子供も食べられる刺身

そんなわけで「借金玉という生物を観測しよう」という人類がわりといっぱい集まったので、クジラヒアリング大会を催してみることにしました。これは喫茶店で行われたのですが、博多、何故か異常にコーヒーに気合の入った喫茶店が多く、ちょっと移住したくなった。うまいコーヒーを飲みつつ現地民の皆さんに色々聞いてみました。

すると、非常にはっきりした年代ごとの区別がわかりました。

50代、クジラは日常食材だった。食材の格付けで言うと、馬刺し>鯛などの刺身>鯨の刺身、という位置づけだった。シロデモノはむしろ高級という印象があったが、とにかくスーパーには並んでいた。「子供も食べられる刺身」だった。

40代 クジラは馴染みがある。月に2回くらい、ナポリタンスパゲティと同じくらいの頻度で食卓に上った。カツか竜田揚げがメインの食べ方。

20代 給食で年に2回くらい出た。家では食べたことはない。外食でもめったに食べない。でも、食べたことはある。うまいか、といわれると「あまり知らない」という印象。

これは、非常に面白い区分でした。僕は北海道の生まれで30代ですが、クジラという食材にはほとんど馴染みはありません。質の悪いクジラベーコンと、ちょっとお高い店で尾の刺身を食った、あとは居酒屋で「大してうまくねえな」と思いながら半解凍のクジラの刺身を食べた程度です。しかし、50代の人にとってはまさしく日常食だったわけですね。世代の断絶が起きている、ということです。

たまたまヒアリング会場に30代がいなかったのでこのあたりは不明ですが、どうもこのあたりで断絶が起きているようです。で、調べてみたら日本が商業捕鯨の停止を受け入れたのが1985年。なるほど、ちょうどここで断絶が起きたのはとても納得できることです。結果として、「失われた時間」が出来てしまった。鯨食文化はそこで一度断絶してしまったんですね。細々と生き残ってきたのはあるでしょうが、供給が止まれば当然ながら食文化は日常と離れていきます。

この是非については問題にしません。資源の保持はとても大事なことだし、結果としてクジラの資源が保全された、というのはあると思います。ここで重要なのは「クジラは一度、日常食から切り離されてしまった」ということです。

 

クジラの保存方法

今回は実際に調査捕鯨に関わる皆様からお話を聞くと、僕の大まかな理解ですが、クジラは「コンタクトフリーザー」という設備で捕獲とほとんど時間をおかず、即座に冷凍されているようです。マイナス50度で7時間という強烈な冷凍設備です。これは、いわゆる死後硬直が始まる前にカチンカチンに凍らせてしまう設備です。

現状「フレッシュのクジラ」はこのルートの場合流通不可能だということがわかりますね。そして、クジラの死後硬直は解凍したときに始まる。これが、前回の記事で書いた「強烈なドリップの発生」の要因にもなっているようです。この処理が食味のために正しいのか、僕には判断できません。現状、「味」のための研究などはほとんど停止された状態にあるとのことです。この辺には大人の事情があるんだろうな、というところで僕は取材を止めました。「最高のクジラの処理の方法」は僕にもわからないし、口出しできることでもありません。

ただ、「現状に満足はしていない」という言葉があったことだけは添えさせてもらいます。確かに、もう一工夫でもっと美味しくなる気はします。食肉の処理技術は桁違いに進歩していますので、「ベストな食味」を目指すことはできるかもしれません。この辺は消費者が現状のクジラをしっかり食べつつ、「もっとうまいの食いてえ」と言っていくしかないところですね。

このコンタクトフリーザーによる冷凍という処理も数十年前からあまり変化していないようです。つまり、こちらも時間が停まっている。これは取材した僕の勝手な思い込みかもしれませんが、停まった時間を動き出させたいという思いがあるような気が、なんとなくしました。僕としては、うまいくじらが食いたいので、「よっしゃ、動き出させようぜ」という気持ちがあります。皆さんはどうですか?

ちなみに、現時点でもクジラは非常に衛生的な処理を経て流通しています。この辺、会場に細かい説明がありましたが「すげえなぁ」という感じです。あの巨大な身体を海から引っ張り揚げて、うまい肉にする。これは簡単なことではありません。食肉処理というのは、完全なる専門技術です。牛や豚もそうですが、うっかりすると人が死にます。限られた状況下でベストを尽くしている現場の皆様には、頭が下がる思いです。

 

クセを楽しむ

さて、ここまで書いてきて僕は「クジラのクセを楽しむ」という文化が、きっとかつては存在していたんだろうな、という気がしてきました。これは、集まってくれた皆さんと一緒に博多ラーメンを食べているときに気づきました。本場の博多ラーメン、現在では方向性が二分化されているようで「これはほとんど豚のポタージュスープでは」とでもいうようなクリアでクセのないものと、ある程度意図的にトンコツの臭みを残したものがあります。そして、現地の皆さんに聞くと「クセがあるのが標準、みんな好き」と言っていました。

あの、ムワっとクセが香るスープにカラシ高菜と生姜、ニンニクなどを放り込むと、胃の底からこみあげるような食欲がやってきます。これは中華やアジアンエスニックなどにわりとよくある技法なのですが、臭みのある食材とスパイスを上手に合わせると「爆発」としか表現できない味わいの広がりが起きます。特にこれはジャンクフードの技法として汎用的といえるでしょう。一癖ある、しかしクセになる。食欲がガンガンかきたてられる料理ってそういうものじゃないでしょうか。

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それを代表する料理がこれだと思います。これは会場で供されていた、「クジラのオリーブオイルとオタフクソース焼き」です。これがね、うっめえのよ。まさしく漁師料理って感じですが。オリーブオイルの香りの上にこげたソース、そして肉のうまみ。爆発的にうまい。上品では決してないが、胃の底から腹が減る。これは人間をどんどんかきあつめる(こげたソースの香りに抗える人間などいるだろうか?)料理なので、必死で写真を撮ったんだけどこんなもんになった。許せ。

鯨カツもそうでしたが、これも調理方針としては同じだと思います。クセに強烈な味わいをぶつけて爆発させる。そこから産まれるまさに地に根付いた味わい。こういうのがうめえんですよ。クジラ、必ずしも「最高鮮度ならうまい」ではないですね。一定のクセや臭みを許容して尚、いやむしろクセや臭みがあるからこそ楽しめる美味がある。

僕は北海道の出身で、北海道の人間はどちらかというと「食材の新鮮さ」や「臭みの少なさ」を尊びます。しかし、クジラというのは本来保存性に優れた食材です。鯨捕らわば七浦潤う、なんて言葉もあるとおり「流通できる」食材だったんです。現代のような冷蔵設備がない時代でも、です。シロデモノもそうですが、臭みやクセを「美味」に転嫁する技術がきちんと存在しているのです。

こういった文化はきっと、商業捕鯨が停止してからかなりの部分が失われてしまったのでしょう。しかし、鯨カツがあり、様々な汁料理があり、オタフクソースとオリーブオイルで焼く人たちがいる。大丈夫、ちゃんと残ってる。そして、このイベントが「汁物」に寄ったメニューだったのもきっとそういう意味だと思います。

かつては「俺んとこの汁が一番うまい」、とでもいうような。現代だと、ラーメン屋が競い合っているような文化があったんだと思います。どれも、クジラ特有のクセをむしろポジティブに捉え、それを「押さえ込む」とか「消す」ではなく、相乗効果の「爆発」を狙う料理だったと思います。東京鯨フェスは「最高鮮度」だったのに引き続き、今度は「鮮度が悪くても、コンディションが悪くてもそれを楽しむ」という文化に触れた気がしました。そして、これはサンプルが博多だけなので言い切れないのですが、このあたりの地域にはそういった食文化が根付いているのではないかと思います。博多ラーメン、まさに「クセを楽しむ」料理ですしね。思わず2軒ハシゴしちゃいましたが、うまかったです。

 

時間はまた、動き出す

中華料理なんかでメジャーな思想ですが、良い料理とは「コンディションのイマイチの食材から美味を作り出す」ものです。世界中に、こういった料理は存在します。クジラは「最高鮮度なら信じられないほどうまい」ものであると同時に、バッドコンディションでも旨くできる、ものだということです。

クジラは「最高の素材を使ってうまくする」では片手落ち。むしろ、塩鯨のような「クセも臭みも大いにあるが、それをうまくする」文化でもあることを確認しました。まさしくそれこそが「食文化」だと思います。一杯100円の椀から立ち上るクジラの香りは、まさしく歴史の中でつむがれてきた文化の香りだったな、というとこです。カッコつけすぎですかね。

最初は「うん、やっぱクジラの匂いはクセがあるな」と思っていた空気も、2日目には「腹減るなこれ」になってました。クジラははるか古来から食べられてきた食材です。その「最高鮮度じゃなくても最高にうまくする」料理にも、再び目を向けるべきでしょう。そして、赤肉だけではなくシロデモノもガンガン旨く食っていく必要があります。うまい料理考えなきゃなー、負けてられないなーというところですね。クジラ料理の停まった時間、また動かしましょう。大丈夫、今は世界各国の調理技術が一般にも浸透してます。やり方はいくらでもある。

そして、「バッドコンディションでも旨くする」というと、まるで「まずいものをうまくする」みたいな感じですが、そういったクセや臭みを生かした料理というのは、人間の本質的な食欲を呼び起こすものになりえます。「美味」とは何かについて考え込まされる小旅行でした。それでは最後に僕の一つの答えとしてのレシピを提示してこのお話を終えようと思います。

 

塩鯨のチャーハン、中央アジア風。クミンの香り

塩鯨を刻み、ゴマ油でよく炒って、ある程度臭みを飛ばします。(謎の理由で信じられないほど泡立つが気にするな)そこに唐辛子とニンニクを投入し、香りを立てます。ここで、「腹が減る」としか言いようのない香りが出てきます。これは、「塩辛のチャーハン」なんかでも使う技ですね。ああいううまみ爆弾系の臭みのある食材は、油と合わせて火を入れてやることで良いところだけを取り出せます。(こないだ「塩辛のイカゴロは半分焼く」という秘密技をyoutubeで暴露してた人いましたね、あれは流石に秘密にするべきだったと思います。)

しかし、これでもまだ不足。クジラのパワーにメシが負ける。そこで投入するのがクミンです。実は、最初の炒る段階でホールのクミンを、仕上げに粉のクミンを加えます。これは、必ずしも良質とは言えない羊をうまく食うための、やはりアジアの技法です。もう少し複雑な辛味が欲しいな、と思ったのであら挽きの胡椒も投入。酸味が欲しいな、と思ったのでケッパーも少々。んで、卵を入れる。ラーメン屋スタイルの卵後入れ方式です。仕上げに紹興酒少々で香りを乗せて、ちょっと食感が欲しいので薬味の玉ねぎの千切り。唐辛子も振っとくか、こっちは韓国の。塩は味見ながら入れてください。たぶん、クジラとケッパーの塩でキマると思う。

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うめえ!

塩鯨はやっぱりうまみ爆弾ですね。強烈なうまみに支えられ、そこにスパイスの複雑な香りが乗り、ちょっと重たいな、というところをケッパーの酸と風味がシメてくれます。ハイパー無国籍クッキングですが、ほぼ予想通りの味になりました。カリっとした塩鯨も噛み締めるとクジラの風味が広がります。超うめえ。

ベーコンより扱いは難しいですけど、やはりうまいことやると破壊力は段違いです。わかってきたぞ、クジラのクセの使い方が。塩鯨500グラムくらい追加するか。これはうまい。クジラのツンと抜けるクセをスパイスがうまく押さえ込んで、奥深いジャンク美味を作り上げています。鯨カツと全く同じ方向性のうまさですね。

クジラ、うまいです。食いましょう。もし目の前にあるクジラがイマイチの品質でも、うまく食いましょう。これからの鯨食文化は、作り上げていくものです。

やっていきましょう。