発達障害就労日誌

色々あるけどまぁ生きていこうじゃないかというブログです。

投薬治療以外で、ADHDに一番効くのはサウナではないかというお話

サウナは最高である

いきなり大見出しで始めましたが、僕はサウナが大好きです。一ヶ月にどんなに少なくても5回は行きますし、多いときは20回行きます。生活のルーチンの中で絶対に外せないものの一つがサウナであり、銭湯通いであると言えます。

サウナが健康に良いとか悪いとかそういうお話に興味はないです。僕がサウナに通う理由は本当に明白で、大変気持ちが良くて仕事が捗るから。この二つだけです。最近僕はちょっと仕事の調子を崩していたのですが、これはバイクが故障して銭湯に通うのが面倒になったタイミングと見事にリンクしており、最近また必死で通い始めてだいぶ復調してきました。最早、サウナなしで生活が成り立たないレベルと言っていいと思います。今日はいかにサウナが素晴らしいかを語るエントリをやります。

 

サウナによって得られるもの

僕はADHDですので、精神は基本的に雑念まみれです。思考があっちに飛び散りこっちに飛び散り、考えるべきことを考えやるべきことをやる、たったそれだけのことに非常に大きな困難があります。そういう時に必要なのがサウナです。手をつけたくない仕事に取り組む前にサウナに行けば、手をつけられる確率が3倍くらい上昇します。

また、仕事も非常に捗ります。これは雑念でぐちゃぐちゃだった精神が統一されたからとしか言いようがありません。細かい機序はよくわかりませんが、明確に差が出ます。いうなれば、ADHD的な欠点を一時的に補ってくれるのです。

現在はある程度ストレスの少ない生活をしていますが、かつて会社を経営していたころは仕事や生活におけるストレス量が現在の比ではありませんでした。不安に押し潰されたまま、無為に時間が経過していく。焦燥に焼かれながら部屋の中をグルグル回っているうちに陽が暮れる、そういうことがわりとよくありました。そういう時に、無意味な焦燥や不安から自分を断ち切るための方法がどうしても必要でした。

サウナに入ると気持ちが切り替えられるということに気づいたのは、ほんの数年前です。それまで、どちらかといえばサウナは得意ではありませんでした。だって、暑いし不快だししんどいじゃないですか。しかし、一回その効果に気づいてしまった後は「サウナの無い生活はありえない」くらいまで感覚が変化しました。

 

サウナのADHD鎮静効果について

先にお断りしておくのは、このサウナの入り方は「健康」とか「安全」を割と無視しています。僕が経験的に一番求める効果を出せるサウナの使い方を追求していった結果生まれたものです。あくまで参考にする程度に留めて、安全を最重視してサウナを楽しんでください。

そういうわけで、キーポイントは「温度差」だと僕は考えています。僕がメインで通う銭湯は、サウナが90度、水風呂が14度です。その温度差は実に76度。あちらこちらのサウナを体験してみた実感ですが、この温度差が大きければ大きいほどサウナの効果は高まります。逆に小さいと効果はイマイチです。水風呂が25度くらいの設定の銭湯も結構ありますが、そういうところだと望んだ効果はまず出ません。

サウナが自律神経失調の改善に効果があるという話はよく聞きます。これは事実だと思います。長いこと部屋に篭っていたりすると起こりがちな「寒いんだか暑いんだかわからない」とか「顔は火照るのに身体は冷たい」というような体調悪化にももちろん効きます。しかし、僕が最重視しているのはそれではありません。ADHD的な「刺激に対する過敏性」であるとか「衝動的な行動」といったものがサウナで鎮まるという実感があるのです。

サウナに入ると、まずは非常に暑いですよね。ADHDは大抵、身体的な不快感に耐えるのが非常に苦手です。僕は感覚過敏の中でも皮膚感覚の過敏を非常に強く持っていて、例えばマフラーを巻くことが出来ません。首に不快感があると何も出来なくなってしまいます。服の素材が毛羽立ったものだったりしても最悪です。皮膚に違和感があるというだけで、すべての集中力が死んでしまうのです。

そういう点からすると、サウナはADHDにとって地獄そのものです。また、水風呂も同様に大変キツいです。身体的な不快感の極地みたいな場所ですからね。即座に逃げ出したくなります。僕は本来、長風呂も出来ないタイプでした。身体の温度が上がりすぎるのは即座に不快ですし、じっとしているのも苦手です。

しかし、それに敢えて耐える。そして、水風呂に入る。これを数回繰り返します。すると、外界への過敏性が鎮まり、非常に落ち着いた精神状態がやってくるのです。まるで、身体の回りに保護膜が出来たかのように過敏さが鎮まるのは非常に心地よい体験です。これは副交感神経と交感神経の働きの改善だけでは説明がつかない気がします。

 

ストレスが快感に変化し、脳が整う

例えばですが、室温の高い部屋で汗をかきながら過ごすのは単純に不快です。しかし、小一時間も強度の高い運動をして大汗をかくのは、大体の人は最終的に心地よいと感じると思います。その後に入るシャワーは格別の気持ちよさでしょう。快と不快は表裏一体だというのは間違いのないことだと思います。

これはもっと極端に言えば、歯医者の治療が終わった後って妙に清清しい気分になったりしませんでしょうか。痛みや苦痛が去った後に発生するあの幸福感や心地よい精神の状態というのはあると思います。いわば、強い身体的ストレスというのはその後の幸福感を約束しているともいえると思います。サウナの効用はこれに近い。虫歯の痛みが止まれば人間は幸福になります。

90度のサウナ、14度の水風呂、どちらも身体的ストレスとしては相当にヘビィですよね。90度のサウナに人間を1時間も閉じ込めておけば生命に関わります。14度の水風呂に1時間入るのもかなり危ないと思います。それだけの、それも温冷両極端のストレスを短時間に身体にかけるわけです。これはかなりの負荷です。

サウナに入るとまずは脳が「これはやばい、これはやばいストレスだ早く逃げろ」と指示を出してきます。この感覚に僕は覚えがあります。やりたくないことに手をつけようとしているときに発生するアレと強度の差はあれ同質のものだと感じます。「不快だ」「離れろ」「イヤだ」と脳が暴れるわけです。しかし、それをねじ伏せて身体的な限界までサウナに入り続ける。そして、その後水風呂に浸かる。しかし、限界までサウナに入った後の水風呂は非常に心地よいものです。この辺で脳が少し考えを改め始めます。「頑張ってサウナに入ると気持ちいいのでは」というやつです。

水風呂に限界まで浸かったあとは、サウナが逆に心地よくなります。冷え切った身体を温めているのだから当然ですよね。これを繰り返すことによって、脳がだんだん外界の刺激に対して寛容になっていくのです。「意外に大丈夫な刺激っぽい」と脳が認識していきます。知覚過敏が収まっていくのです。サウナ直後にマフラーを巻いてみたことがありますが、劇的に不快感が減少していてびっくりました。

ADHDの問題は大雑把に言えば「過敏さ」に集約することが可能だと思います。ストレスへの過敏さ、刺激への過敏さ、あるいは不快感への過敏さ。こういったものが衝動性の引き金となり、あるいは先延ばしなどの問題を生み出します。これらの問題をかなり効果的に解決する手段がサウナだと僕は思っています。

 

過敏さを抑え込むためのサウナ入浴術

そういうわけで、ADHD対策としての具体的なサウナの入り方です。「可能な限り身体的ストレスを効果的にかける」を眼目にしています。なお、時間などはかなり大柄な僕の身体に合わせたものなので、各自微調整してください。

温浴3分

まずは軽くお風呂につかりましょう。

②水風呂5分

お風呂でほどよく温まったところで水風呂に突入してください。温浴を最初にしたのは、この水風呂を可能な限り大きい身体的ストレスにするためです。軽く温まった身体に冷水のストレスのギャップは非常に効きます。気合いを入れて5分浸かってください。

③サウナ10分

水風呂5分では「冷え切った」といえるほどに身体は冷えていないと思いますので、温度ギャップのせいでサウナのストレスも非常に強くなっていると思います。10分踏ん張りましょう。ちなみに、僕の通う銭湯のサウナに備え付けられている砂時計は10分計で、「5分程度で出るんじゃねえぞ」という強い意志が感じられます。なお、「サウナの身体的ストレスに耐えられない」という方は、冷水で濡らした手ぬぐいを頭にかけて入るのがお勧めです。頭部はすぐ熱くなるのですが、身体に十分に効かすにはもう少し頑張る必要があります。頭部の温度上昇を抑えてやればかなり楽になるはずです。

④水風呂10分

うまいことサウナが決まっていれば、この水風呂辺りから「心地よい」という感覚になってくるはずです。ここで心地よさが感じられない場合はサウナに入る時間が足りない、あるいは体調が悪いなどで身体的ストレスに耐え切れていない可能性があります。無理はやめましょう。僕もここで撤退することは結構あります。

⑤サウナ15分

この辺で水風呂で身体を冷やしきったこともありますが、何より温度ストレスに身体が馴れ始めていると思います。ガッツリやりましょう。ここがメインです。ガンガンに身体を熱してください。この辺から意識変性が感じ取れて、精神がクリアになってくるのがわかると思います。サウナ・ハイの始まりです。この時間は考え事にも向きます。非常に頭が冴えてくるのがわかると思います。

⑥水風呂15分

理想的な展開になっていれば、この水風呂はまさに「無心」という境地になれると思います。僕は大体この辺りで、視野が急激に広がるのが感じ取れます。文字通り「視野が狭くなっていた」ことがわかってきます。「ああ、銭湯の天井は高いなぁ」とか思えればかなりいい状態です。不安や焦燥から開放された、心地よい精神の状態がやってくるでしょう。低温によるストレスはほぼ感じなくなります。

⑦サウナ5分

ここでもう一発サウナ15分も可能です。帰宅して即座に布団に入るなら、ここでもう一発長いサウナを決めるのがいいでしょう。しかし、僕は帰宅したら即座に仕事を始める前提ですので、このあたりから平常な状態への復帰を目指します。身体の芯まで温めるというよりは、平常な温度に身体を戻すのがメインです。ここでもう15分くらい入った場合ですが、身体が疲れきるので非常によく眠れます。不眠対策などの場合はガッツリやってもいいと思います。

⑧水風呂5分

最後のシメです。サウナで終えるか水風呂で終えるかは議論が分かれるのですが、僕は水風呂で終える派です。「ビールを飲んで寝る」みたいな目的の場合はサウナで終えてもいいと思いますが、仕事をするなら間違いなく水風呂で終えるのがベストでしょう。この辺から大変意識がシャキっとしているのが感じ取れると思います。

 

ストレスや刺激に強くなるためのサウナ

実際、この辺の効用は僕の体感としては明確に「事実」なんですが、皆さんの身体や脳に発生するとは限りません、だからこそ是非試してみて欲しいと思います。発達障害に非常にありがちな「過敏性」の克服が、「ストレスに慣れる」ことであるのはある程度事実だと思います。いわばサウナは「ちょうど良いストレス」なのではないかと思うのです。

また、ストレスに耐えた後には快感がついてくるので、報酬系を正常に稼動させるためのトレーニングになっているのではないかという気もします。実際、サウナに入った後は非常にポジティブな気分になり、苦難に向き合おうというモチベーションが高くなるのです。僕の場合は、ですけれど。

強度の高い運動などでも似た効果は見込めると思います。また、「サウナ」と非常に似通う効果があるものとして、僕の経験しているものは「格闘技」です。痛みとスリルを伴う強度の高いトレーニングの後には非常に強い快感と整った精神の状態がやってきます。しかし、社会人が「仕事の前に手軽に殴りあう」なんてのは非常に難しい。そういうわけで、僕はサウナがベストメソッドだと思っています。また、ストラテラを飲んだ後に感じる「鎮静」や「視野の広がり」も非常に似たものを感じます。

ただ、やはり高温と冷水を往復するのは心臓などにも負荷をかけると思いますし、当然リスクはあります。そういうわけで、身体の状態を見ながら是非試してみて欲しいです。そして、今のところn=1の体験談を、もう少し説得力のあるものに出来ればいいな、と思っています。なんにしても、サウナは最高なので皆さんも試してみましょう。

なお、僕は強烈にサウナが熱く、水風呂が冷たい銭湯を常に探しています。今のところ、90度ー14度が最高の温度ギャップですが、もっと大きいところがあれば是非体験してみたい。水風呂10度みたいなエクストリーム銭湯をご存知の方は是非ご教授ください。やっていきましょう。