発達障害就労日誌

色々あるけどまぁ生きていこうじゃないかというブログです。

ADHD営業マンの心得一覧

営業してます

最近は職場で色々あり、端的に人が全く足りず営業から事務まであらゆる仕事をしています。また、ツイッターをご覧の方はご存知かと思いますが、文章を書かせていただく仕事もモリモリ入れており狂った多忙さが発生しております。めっちゃツイッターしてるだろ、というところですがあれだけが息抜きなので・・・。基本的に勤め仕事をしているかモニタの前で文章を書いているかの人生です。

とはいうものの、前回のエントリの通りわりと仕事は充実しており、勤め仕事は人生で一番円満に進んでいる感じがします。「仕事楽しいなぁ」という本当に久しぶりの感覚がありますね。何せ、最初の職場は「楽しいことが真剣に一つもなかった」くらいの感じですし、起業の方は後半戦が人生最大級の地獄でしたので。いや、これは本当に悪くないです。

その上で、ここしばらくの営業マンとして知見を総動員して、ADHDとしての営業業務ハックを考えてみましたので、宜しくご査収ください。基本的に「営業として成績を上げる」ハックではなく、「曲りなりにも何とか営業として機能する」ハックですので、この上にいわゆる営業マンの心得を追加していく感じで運用していただければと思います。

アポをチギらない、最も重要なことを定義する

営業をやっていて一番やばいと感じたのはとにかくこれです。営業というのは身体一つで行けば出来るものもありますが、事前準備が必要なケースも多々あり「やべえ忘れてた」の恐怖が思った以上にあることが分かってきました。何より「アポイトメント自体を忘れる」は本当にヤバい話です。営業マンにすっぽかされたら「死ね」以外の感情は出てこないですよね。これは流石にやばい。

とりあえず、資料などの営業上必要なツールについてはお約束の「使う可能性があるものはひとまず全て鞄に突っ込んでおく」で対処していますが、スケジュールの管理だけは厳しさがあります。しかも、僕の現在のお仕事は営業に留まらず内勤もあれば外勤のお仕事もあり、スケジュールはゴチャゴチャに絡み合ってしまう。これはかなり厳しい。そこでまず最終防衛ラインを定めるようにしました。

・とにかくアポだけはチギらない

これさえ出来ていればOK、というのが僕の仕事における最終防衛ラインです。営業以外の仕事の進捗や、後に伸ばせるタスクは全て営業アポイトメントに「優先しない」という定義をガチガチに固めました。これだけはやる、後は全て「何が起きても気にしない」という覚悟です。どうせミスはやるんです。

 

スケジュール混乱の本質は優先順位の混乱

最近スケジュール混乱の本質がやっと見えてきたのですけれど、それは優先順位の混乱だということが分かってきました。「何を先にやるべきか」「何が大事な仕事か」を考えるのが僕は非常に苦手ですし、些細な仕事の失敗でコンディションが大きく揺らぎます。これは予め明確に定めておくのが一番です。

つまるところ、トチった時のダメージが、「ゴメンナサイすれば本質的に問題のない場合」と「明らかに利益を逸失する、あるいは損失を出した場合」で大差がないのです。衝動性が強く過敏な性質が遺憾なく発揮されているのですが、僕は本当に些細なミスでも全てが狂います。そして、一つ狂えば連鎖的に何もかもが狂っていくのです。このやらかし無限コンボをなんとか食い止める必要があります。

そこで、「最低限絶対に守るべき一線」を引き、それ以外のポカは気にしないという仕事の優先順位付けをガチガチに行うことで、様々なことが解決しました。僕の勤める零細企業は最低限の人員でギリギリ回っているタイプの会社ですので、職場は常時戦場です。多少ポカをしたところで落ち込んでいる暇などありません。

結局のところ「完璧にスケジュールをこなそう」という強迫観念こそが、スケジュール崩壊の原因だったという気がします。全てのタスクを平等に扱った結果、些細なミスが精神的な動揺を呼び、動揺が更なるミスとスケジュールの連鎖崩壊を呼ぶ。これを止めるにはむしろ、「守れないスケジュールがあるのは当たり前、仕事をミスるのは当たり前、一番ヤバイところだけ守れればいい」という開き直りが効果的でした。

そして、最近僕は最終防衛ラインを徐々に拡大していく作戦を始めました。「絶対にトバせないしミスれない優先順位1位の仕事」をスケジュール帳の上で色分けし、色分けされたスケジュールを徐々に増やしていく。少しずつ、「ミスってもトバしても仕方ない仕事」を減らしていくのが現在の目標になっています。

「本当にヤバいところだけミスらなければいい、それ以外のミスは全て仕方ない、所詮自分はそういう人間だ」という諦めを健全に持つことが一番の救いです。仕事に優先順位をガチガチにつけて、優先順位の低い仕事については「何があっても気にしない」を徹底しましょう。逆に、「今度こそ全ての仕事を完璧にやるんだ」というような強迫観念は全くポジティブに機能しません。前向きに諦めつつ、諦めずに行きましょう。

 

スマートでなくていい、滑稽で構わない

さて、営業マンとしてお客様と接するときですが、こちらも最近獲得した考え方があります。「ビジネスマンとしてスマートに仕事をしよう」という感覚は全て放棄することです。例えば、時間ギリギリに汗だくでお客様との待ち合わせに駆け込む、鞄の中から資料がサッと出せなくてモタつく、これらは全て起きても全く構わないことです。

もちろん、常にお客様に先んじて待ち合わせに現れ、常に資料がサッと鞄から出て来る営業マンは優秀です。しかし、僕が目指すべき、もっと正確に言えば「目指すことの可能な」優秀さはそういうものではないようです。

いうまでもなくスマートさは重要です。しかし、それが出来なくても営業マンとしての結果は出せる。むしろ、「滑稽なほど一生懸命やっている不器用さ」を前に出していった方がよっぽど結果が良いということが分かってきました。

スマートに見せようとして取繕うよりは、不器用さを丸出しにして必死にやればいい。むしろそれでこそ獲得出来る信用がある。そういうことが実感として理解出来て来た気がします。汗をかき、必死に語る。上手にやれないことは気にしない。とにかく目の前のお客様に売りつければ勝ちなのです。

自分の得意なことと苦手なことを認識し、苦手なことは無理に補正しようとせず、その苦手な部分を抱えたままでも成果を出せるやり方に向かうべきなのです。営業のいいところは、何はともあれ売れれば全てが正当化されることに尽きます。滑稽な自分をむしろ隠そうとしない方が結果にはつながっています。

そして、結果が伴う仕事を繰り返していればその当然の帰結として仕事は少しずつ洗練されてくる。洗練は結果であり、目標ではないのです。あくまでも目標は成果を出すこと、利益を出すことであり営業歩合を取ることです。細かいことは気にしない、そして何が「細かいこと」であり何が「細かくないこと」なのがガッチリ定めておく。これは役に立つ考え方です。

 

個別知識よりはメタ知識が役に立つ 

営業には商品知識が必要です。しかし、扱う商品の数や種類が多い営業マンが全ての商品知識を丸暗記することは不可能である場合も多いでしょう。僕も、営業に出向く前に今日自分が売る商品の細かいスペックを覚えるのが大変に苦手です。

しかし、「商品一つ一つの個別具体的性質」以外に、「自分の売る商品の多くに通底するメタ的な知識」というものも存在しているのではないでしょうか。そのメタ知識の中で、一般的なお客様は大抵知らないお役立ち知識。こういうものがセールストークとしては効果的に刺さることがわかってきました。

商品の細かいスペックなんて大抵の場合資料に書いてあるわけです。それを諳んじられることにそれほど大きな意味はありません。それより、お客様が営業マンに求めている知識を語る、それも個別的なものではなく汎用的な使いまわしの効くものはないか。そういうことを考えていった結果、大分「殺し文句」がたくさんストックされてきました。

僕は「資料に書いてありますね、ちょっと待ってください確認します」みたいなことをお客様の前で平気で言います。結局、「質問に答えられない」ときは「すいません」というより、「そんなもん資料を見ればいいだろ」という態度を取る方がよっぽどマシなのです。逆に、資料に書いていないものについて語れることこそが重要です。

「細部よりもメタなこと、資料の内容より資料に書かれていないこと」がセールスにおいては重要だと最近はヒシヒシと感じています。「とにかく商品知識を丸暗記」みたいなのはおそらく落とし穴です。むしろ、セールストークにつなげられるのはメタで総合的な知識です。そして、資料の丸覚えよりはメタ的な理解から具体的な「殺し文句」につなげることを考える方が、ADHD的な性質の人間には向いていると思います。

ADHDは営業に向く、というわりと一般的な話の出所はこの辺でしょう。「確かに向いているな」と僕も感じています。

 

お客様に話させろ

営業マンは立て板に水のように話をしなければいけない、という事実は全くないということが最近分かってきました。むしろ、お客様は自分のことを話したい人が多いです。自分のことをベラベラ話す客は最高の客です。なにせ、気持ちよく発話させておけば、かなりの高確率で好感が勝ち取れているのですから。

syakkin-dama.hatenablog.com

このエントリから続く一連の雑談技術の応用で完全にこなせます。お客様の購買意欲がある程度高いのであれば、営業マンは余計なことを喋る必要は全くありません。

では、購買意欲が低いときはどうするか。それをやるにしても、お客様の購買意欲の低さがどこから生まれてきているのかをまず話してもらわなければ話になりません。商品ABCがダメなら日を改めて商品Dを薦めることができる場合も多いでしょう。そのためにもひたすら情報を取るのは非常に重要です。

営業マンは話す仕事ではなく、話をさせる仕事だということがわかってきました。そして、合間合間に上手いこと「殺し文句」へ誘導できれば尚良しです。覚えるべき話術は、「語る話術」ではなく「語らせる話術」に尽きます。そして、完璧に覚えた知識をお客様の前で正確に再生するよりは、ずいぶん簡単で効果的です。

 

欠点は美点に言い換えてしまえ

僕は最近、「スマートさは全くない人間ですが、誰よりも汗をかいていきます!この夏に暑苦しいかと思いますが、よろしくお願いします!」というフレーズを多用しています。いうまでもなく、これは単なる言い訳です。誰より汗をかくのは僕が不器用でスマートでなく、ふとっちょだからです。別にそんなことしたいわけではありません。汗をかかずに済めばそれが一番に決まってる。

しかし、自己紹介の中に自分の欠点をマスキングするフレーズを織り交ぜておくのは非常に有効です。僕の場合は、全くスマートではない体型や早口の前のめりの喋りなどを「全部ポジティブに解釈してくれ」という意図があります。そして、それはクスっと笑ってもらえるものだとベストです。

資料が鞄から出てこなくてモタモタしているときは、むしろ焦った素振りを見せましょう。言うまでもなく内心は全く焦らないことです、「焦った演技をする」ことでむしろ冷静になれます。「いや、本当に資料整理が苦手でして・・・」で構わないんです。スマートさと完璧さが売りの営業マンであれば大失点ですが、そんなものは最初から望むべくもない僕にとっては気にするほどのことではありません。

欠点を隠すよりは晒す。そして、それをむしろ自分の美点として認知させる総合演出を考えていく方が圧倒的に楽です。これは結果さえ出れば正義の営業職ならではの利点でしょう。最高だと思います。

 

営業職は楽しい

営業は「狩り」に近い感じがあり、自分があげた成果がそのまま自分の収入に響いてくるため、僕にとってはモチベーションコントロールが非常に楽です。また、目の前にお客様がいれば、僕は衝動性スイッチが入っているためどれだけ疲れていても身体が動きますし、セールストークが飛び出してきます。

外界への過敏性や衝動性といったものは、営業に関しては僕は「活かせて」いる感じがします。お客様を前にさえすれば常に全力を出せるというのが僕の強みです。多動でガチャガチャ動き回る落ち着きのなさも、「一生懸命」とか「必死」みたいな魔法の言葉が覆い隠してくれます。

今日の話ですが、トータルとして「最低限のことだけはキッチリ抑える」「治しようのない欠点はなんとかそれを美点に見せかけることを考える」などの方法論に落とし込めると思います。それが許される可能性のある環境にある方には是非試して欲しいハックです。

出来ないことは健全に諦めて、出来る部分を活かしていく。欠点を直すよりは、欠点を抱えたまま成果を出すことを工夫する。治しようがないものは治しようがないという諦めの上に、最低限と誤魔化しを積み上げていく。そういう方向性は、職種によってはあり得ると思います。

なんにしても営業は楽しく、営業が楽しいと他の仕事も楽しい好循環を31歳にして初めて味わっています。仕事が楽しいと人生は良いものですね・・・。本当に。もちろん、職場に恵まれたということもありますし、圧倒的な人不足で評価基準が緩んでいるなどの要素も背中を押してはいますが、非常に充実したお仕事ライフを送っています。

役に立つ部分がありましたら、ぜひとも役立てていただければと思います。

ところでですが、勤め仕事以外のスケジュールは正直なところ破滅気味で、クライアントの皆様のご好意でなんとか頑張らせていただいています。そちらの方をなんとかするライフハックも編み出していきますので、何卒よろしくお願いします。一つ一つ克服していきたいと思っています。やっていきます。