発達障害就労日誌

色々あるけどまぁ生きていこうじゃないかというブログです。

残念な新卒のための生存手引書(実践編応用1 くそヤバイ時の乗り切り方)

ガン詰めが発生しました。

始まりましたね。本番です。あなたはやらかしてしまった。あるいは、多少のやらかしが積みあがってついに発火点に達してしまった。個室に呼び出されるパターンか、あるいは自席でモリモリ詰められるパターンかはわかりませんが、とにかく「詰め」という概念があなたにふりかかって来てしまった。

叱責のために上司、あるいは先輩が時間を取るというのは結構ヤバい事態です。この場合、想定されるパターンは二つしかありません。一つが「時間をかけて言って聞かせよう」という時間をとってくれているパターンか、「一回こいつを徹底的にシバかなければ収まりがつかん」というお気持ちが発生しているかです。そして、人間というのは残念なので自分が現在このどちらの気持ちなのかを判別することは通常出来ません

逆に言えばあなたがこれから取る態度次第で「こいつをとにかくシバキ殺す」になるか、あるいは「じっくり話して聞かせて反省させよう」になるかのルート分岐を選択できる可能性が残っている、ということになります。前者のルートに突入した場合、喋り疲れるまでお説教は終わりませんし、お説教に要した時間を確認した結果再び怒りが燃え上がるという二重の罠が発生します。怖いですね。

例外として捉えて欲しいのは「成果の出ない人間を詰める」という部族の風習がある場合です。この場合は単なるイニシエーションの一種ですので、詰められている先輩などを観察していればどのように振舞えば抜け出しやすいかは把握できると思います。そうしてください。「次の締め日までには数字上げます」以外特に言うこともないし、頑張ってどうこうなるものでもないです。あれは見せしめの意味もあるカルチャーなので、そういうものだと思ってください。借金玉さんは昔浄水器を売ってたことがありますが(わりと数字は良かった)あれは「人間をみんなの前でブチ詰める」ということに意義がありますし詰めもテンプレ化してるので対応自体はやりやすいと思います。じたばたあがいても数字が変わるわけでもないですし。

さて、話を戻しましょう。あなたはなんとしてもこの説教を終わらせた時に「あいつもわかってくれたな、時間を取った甲斐があった」という清清しい気持ちを相手に持たせてこの場を離れなければなりません。つまり、エンディングに向けて物語を構築していく必要があります。優秀な上司ならエンディングに向かって説教を上手に構築するものですが、たいていの人間にそんなことは出来ないので、怒られている側が上手に誘導してやる必要はあります。

さて、そういうわけでお説教が始まりました。最初に考えることは一つです。「どのタイミングでお礼を言うか」です。というのも、人間というのは人間をブチ詰める一方で「とにかく殴れればそれでいい」みたいなタイプは稀です。(たまにはいます)大体の人間は「説教した結果、説教した相手にも感謝されたい」という尽きざる欲望を持っています。逆に言えば、これが満たされた時お説教は終わります。脱出口はここにしかありません。厄介なのは、この欲望を自覚していないタイプの人間です。詰めれば詰めるほど人間は普通頑なになりますので、それが怒りに火を注いでお説教無限地獄になります。これだけは避けましょう。

「ご指導ありがとうございました」を言うタイミングをとにかく探ってください。いいですね。まずはここに全神経を集中してください。

とにかく聞け、無駄に喋るな、キレるな。

お説教が始まると通常、人間は相手の発言をシャットダウンするタイプの防御機制が発動すると思います。そのくせ、相手の叱責の言葉尻や認識間違いなどはびっくりするほどよく聞こえるので、それを拾って反撃したくなると思います。

やめましょう。一つも得はないです。

とにかく、ガン詰めが始まった場合に「勝ちに行く」のは最悪の判断です。あなたが鬼島津みたいなハイパープレイヤーなら別ですが、ガン詰めは通常撤退戦です。ダメージを最小に逃げ切る戦いです。多少の犠牲は切り捨ててください。「それは違う」と言いたくなる気持ちはわかります。しかし、これは撤退戦です。殿を守る兵員は切り捨ててください。助けに行くな。「でも」って言うな。手についたものをとりあえず投げつけるタイプのムーブを発動させるのは本当にやめろ。

とにかく相手の話を良く聞いてください。なんにせよ、「時間を取って指導してくれている」という建前は絶対に外さないでください。この建前を外すと理性が吹っ飛びます。半ば本気で思い込んでください。聞かれたことには答えてください、しかし聞かれていないことには1ミリも答えないでください。とにかく相手が「反省しているな」という認識を持つまではひたすら撤退を続けてください。時々「これは活路では?」みたいなものがピカッと見えると思いますが、全部錯覚です。また、本当に相手が重大な認識違いをしていたとしても、人間というのは一度振り上げた拳をスッと下ろすことは出来ません。その場で反撃しても10倍殴られるだけです。

お説教中に一番ヤバいのは、相手の発言を拾い損ねることです。人間が「反省したな」という判断をするのは往々にして、自分が話した(と認識している)ことを相手が的確に再生したときです。「おまえの意見を言え」みたいなシーンが発生すると思いますが、これは全て理解度確認テストの一種だと思ってください。しかし、通常キレている人間の発言は支離滅裂です。これらを必死で拾い集め、再構成して再生する。これがお説教を受けている側のミッションです。

お説教を受けている最中はとてもそうは思えないと思いますが、「人間の話を聞いて、問われた時に正確に相手が望む形でそれを要約して返す」というのはかなり難しい仕事です。これに集中していれば、ガン詰めを受けるのはかなり忙しいお仕事になるはずで、時間が経過するのをひたすら待つ作業にはならないでしょう。一生懸命やりましょう。この作業にひたすら集中していれば感情が異常に盛り上がってくるのも回避出来るはずです。

キレるのはやめましょう。「人生追い詰められた時は全て逆ギレで乗り切ってきた」という人類は結構存在しますが、あなたが職場の新入りで人間関係のイニシアチブを握っていない以上その戦法は通じません。キレて大爆発すればその場はお開きになるかもしれませんが、職場の不可触民まで落下することは避けられません。辞める時にとっておきましょう。

 

アフターケア

ガン詰めされた後にはケアが必要です。荒れた人間関係を修復してやらなければ、仕事を教わることもままなりません。それに、お説教の勢いで押し付けられてしまった冤罪も解消していく必要があります。

この場合、最も重要なのは叱った人間の心のケアです。というもの、ふつうの人間にとって「叱る」というのはかなり心のダメージを伴う仕事だからです。(例外もいます)例外については後で触れますが、通常人間はお説教をした後は心苦しく居心地が悪いものなのです。叱る立場になってみるとわかると思います。逆に言えば、ここはチャンスゾーンです。ここで「私はあなたからのご指導に感謝していますし悪感情は持っておりません」というアピールに成功すれば、人間の心はスルッと緩みます。逆に、最悪なのは「俺はテメーを恨んでるぞ」というアピールをすることです。ガン詰めが発生する前ならこれで「ちょっと歩み寄ってみるか」という判断をする上司もいるかもしれませんが、一回時間を取ってのガン詰めをやった後にこれをやれる人間はまずいません。(存在したら滅茶苦茶良い上司なので敬意を持ちましょう)

ガン詰めを食らった翌日は朝少し早めに出て、「昨日はお時間をいただいてありがとうございました。気持ちを入れ替えて頑張らせていただきます」などと叫ぶスタンドプレーはかなり効果的です。クソデキ新卒野郎がちょっと怒られた翌日にこれやってるの見たけど、「スゲェ」と思いましたね。基本的に「反省」や「感謝」を示す所作はやり過ぎくらいで丁度良いです。特に新人の頃は。

また、ガン詰めの最中に「これをやれ」と指示されたタスクは何を差し置いても絶対にこなすようにしましょう。「やれと言われたことをやらない」というのは最悪に近い行動です。気持ちが盛り上がっている時に指示されたものなので、往々にして非効率かつ無意味だったりもしますが、これは効率の問題ではなく「部族の掟を遵守する姿勢があるか?」という試し行動です。粛々と実行しましょう。

これに成功すると職場の空気がフワッと緩むのが確認されると思います。ガン詰めをしてきた人間も「あいつは恨んでないし反省してるっぽいな」と判断すると、今度は「嫌われたくない」という感情が沸き起こってきます。ここで少しずつ誤解や冤罪を解除していく努力をしましょう。うまくいけば相手に「理不尽な詰めやっちまったな…」という感情を持たせることすら可能になります。この感情を持たせれば勝ち筋が見えて来ます。とにかく、人間を怒らせてしまった後はこちらからケアしてやるという姿勢を持ってください。理不尽に感じられるかもしれませんが、ガン詰めをした人間は往々にして心にダメージを負っています。つまりは、付け入る隙があるということです。

 

上司がマジモンのサイコパス野郎でした

はい。借金玉さんのガン詰め対処方は基本的に人間の「嫌われたくない」という強力な欲求に付け入ることを旨としています。たいていの人間はこの感情を有していますので、かなり使えると思います。その一方で、例外もいます。

この場合ですが、逃走を視野に入れてください。「人間をいたぶるのめっちゃ楽しい」という人間は存在します。また、人間個人としてこの性向を持っている比率はそう高くないですが、職場全体の空気が「あいつはシバいて笑いものにしろ、殴れ殴れ」みたいなことになった場合、人間は一瞬でサイコパスに化けます。群れた人間は本当におっかないです。逃げてください。

これはイジメの構図と全く同じです。その場に残って得をすることはまずありません。実力があろうがなかろうが、この構図にハマったら死にます。逆に言えば、これに嵌らないように立ち回るのが最も重要だということです。しかし、これぶっちゃけアレな上司が一名いて職場を支配しておりその人間が「こいつ殴ろう」と決めたら2秒で発生するアレなんです。また、一人徹底的にいたぶられる人間がいると、人間の群れ全体がスムーズに機能するという現実は存在し、それを理解した上でマネジメントに取り入れている鬼畜も存在します。

こういった場合ですが、対処法は基本的に存在しません。恒常的に詰められるという状態に陥っている皆さんは自分がこの構図にハマっているかいないかをしっかりチェックして、完全に嵌っている場合はただちに逃げてください。義務教育と違って、職場は逃げようと思えば逃げられます。いつ仕事をバックレてもいい(もちろん病気などの理由はつけましょう)のが労働者の圧倒的な強みです。100%活用しましょう。傷病手当や失業保険などの利用できるものを調べ、最善の環境を作ったら即座に逃げましょう。また、それをやる余裕もないと判断したらもうやむを得ないのですぐに逃げてください。精神科に駆け込んで「つらいつらいつらいつらい」とあれすればそれほど苦労なく診断書は取れると思います。

職場の寮に入るなどして完全に思考が職場にジャックされてる皆さん、一回振り切って考えてみましょう。このパターンに嵌っていた場合の最善手は逃げです。逃げましょう。逃げろ。いいから逃げろ。

 

理不尽な怒られが発生した場合

新人の皆さんの場合、「仕事がわからなくて質問したらめっちゃ怒られた」などがよくあると思います。しかし、「質問せずに仕事を進めた場合はもっと怒られただろう」というのも間違いのない事実だったりします。これを食らった時、それをぐっと呑み込んで、怒った側をケアしてやる姿勢を持てるかが勝負を分けます。

というのも、人間は「そうかおまえは俺が嫌いか、じゃあ俺はもっと嫌ってやるよ」というアレがアレするのです。そういう生物なのです。理不尽に怒られた場合はとりあえず謝罪をし、後から挽回のチャンスを探ってください。(挽回のチャンスが永久に来ないだろうと確信が持てる場合は逃げを検討してください)その場でメタメタに上司を言いのめすなどは短期的には良いかもしれませんが、いかんせん仕事のスキルは相手が上、経験も相手が上、人間関係のイニシアチブも相手が持っている。この状況下で反撃しても基本的にメリットはありません。ぐっと堪えて、相手が受け入れ態勢を作っている時に備えてください。

しかし、相手が一度「俺、理不尽なことやったかな」という感情を発生させた場合、これらは叩き込む武器にもなりえます。ここで使うスキルは「全然あなたを責める気なんてありませんよ」という風を装いながら、相手の理不尽さを少しずつ言外に匂わせていくスキルです。じーっと相手のムーブを観察していると、「あ、ここでアピール出来る」という隙は発見できると思います。ここぞというタイミングで発動させてください。うまいことやりましょう。でも、やり過ぎは禁物です。なんなら仕事に慣れるまではこれはやらなくてもいいくらいです。

基本的に、人間は新人をどういう内容で叱ったかなんてのは長期的には記憶していません。要するに、多少の冤罪を着せられて怒られてもあんまり気にすることはないんです。(ただし、職場の金をパクったなど致命的な冤罪を着せられた時は大爆発してください。これは身を守るために必須です)気持ちが盛り上がるとガッと声を出してしまう瞬間湯沸かし器みたいな人はいっぱいいます。そして、往々にしてそういう人は意外と心が弱く、「あ、俺理不尽なこと言っちまった」という場合自分から謝罪を申し出るなどということは出来ません。こちらから、「ご指導ありがとうございました。多少理不尽があってもあなたのご指導には常に感謝しています」という気配を匂わせるとコロっと落ちます。人間は基本的には弱い生き物です。多少の粗相をしても自分に感謝と敬意を向けてくる人間を拒否するというのはかなり難しいことなのです。

ちなみに、その逆は超簡単です。自分が悪いということは薄っすらわかっていても、自分に対して悪意を向けてくる人間を嫌うのは本当に簡単。この場合、人間はとても器用なので「自分が悪い」という認識は見事に消滅します。これにハマるのを避けるのが最も大事です。

ある意味で、寛容な気持ちを持つことが重要です。上司も人間であり、弱いのです。なんとなくイラついている時に理不尽な苛立ちを新人にぶつけてしまうこともあるんです。こういう時に「それは理不尽だ」とアピールすると事態はより悪化します。立場はこちらが弱いのです。ぐっと呑み込んで、相手の弱さが表面に露出してくるまで耐えましょう。「嫌われたくない」という人間的な感情が表層に出てくる隙を待ちましょう。僕も三十路を過ぎてある程度冷静に周囲を見渡せるようになりましたが、この「嫌われたくない」という感情を表出せず人生を送れる人なんてほとんどいないと思うようになりました。

どんな人間にも隙はあります。落とせます。落としましょう。

 

キーポイントは人間の弱さ。

人間は基本的には弱いです。群れとして弱者をみんなでいたぶる構図が出来上がらない限り、たった一人で嫌われることも一切厭わず人間を殴り続けられる人間など滅多に存在しません。(たまにはいます。逃げましょう)

弱みにつけこむ。これが人間関係構築の基本です。「皆に恐れられている粗暴な上司」などは皆に嫌われ過ぎてそういうコミュニケーションしか採用できなくなった人のパターンも多いです。こういう人に好かれると大変メリットがデカいので、勇気を出して接近してみましょう。逆に、「みんなに好かれる上司」は弱さのコントロールがよく効いている場合が多いので落としにくいとすら言えます。

まずは、感謝を示しましょう。あなたが所属する部族に対して、あなたの上に立つ人間に対して「私はあなたに敬意を持っていますし、あなたの考え方とやり方を尊重します」という姿勢を全身で表現しましょう。これが受け容れられると二の矢は非常に容易に刺さります。

あの鬼上司も今あなたをガン詰めしている先輩も、基本的にはあなたに嫌われたくないのです。人間の「嫌われたくない、好かれたい」という感情はそう簡単に追い払えるものではありません。そして、一度得られた承認と敬意というのは麻薬です。大変強い習慣性があります。ガンガン打ち込んでやりましょう。「叱った結果尊敬される」というのは、叱る側からすると最高の承認です。ヘロインです。

わかりましたね。遠慮はいりません。ガンガン依存させましょう。人間は弱い。だからつけいる隙はある。これだけは忘れないでください。

やっていきましょう。

 

(本日の内容はディティールが細かいため、まとめは省略させていただきました。気合いなどの概念を導入して読んでください)